第239章 鳴海市を離れる

如月海は一見冷淡に見え、その雰囲気は九条時夜とどこか似通っていた。

 だが、その本質は紳士だ。

 二人の子供たちがいる手前、ここで九条時夜と事を構えるような真似はしない。

「伸司、朝香。また会いに来るよ」

 彼は穏やかな口調で挨拶し、部屋を出て行った。

 しかし、そのまま立ち去ることはなかった。彼はドアの外に立ち、九条時夜が出てくるのを待っていたのだ。

「菊仲静、あの二人を頼む。部外者は入れるな」

 九条時夜は硬い声でそう言い捨てると、踵を返して出て行った。

 二人の男は並んでエレベーターに乗り込んだ。互いに言葉を交わすこともなく、その表情はどちらも極限まで険しい。

 一階...

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