第250章 彼らを死なせるな

次の瞬間、秋月雫の上に馬乗りになっていた男が、蹴り飛ばされて宙を舞った。

大勢の部下を引き連れて踏み込んできた九条時夜の、その類まれなる美貌は凄惨なまでに陰りきっていた。

彼は秋月雫の前に歩み寄り、片膝をついた。

「無事か?」

張り詰めた声。彼自身もまた、激しく動揺しているのは明らかだった。

秋月雫は極度の恐怖に苛まれながらも、泣くことすらできなかった。弱みを見せれば、さらに残酷な仕打ちを受けると恐れていたからだ。

だがこの瞬間、彼女はもう限界だった。九条時夜の首にすがりつき、声を出して泣き崩れた。

「もう大丈夫だ、俺がいる」

彼は自分のジャケットを脱いで彼女の華奢な肩に掛け...

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