第251章 一発の平手打ち

「白川ゆら、あなたはいつも優しくて、他人のことばかり考えているのね」

 九条美月は白川ゆらの腕に抱きつき、その肩に寄りかかった。「もう、あなたがこんなにいい人なのに、お兄ちゃんはどうしてあんなに節穴なのかしら? あなたと婚約破棄するなんて。今すぐあなたを奥さんにするべきなのに。誰かに奪われたら、泣いて後悔するわよ」

 彼女がまだ自分の味方であることを確認し、白川ゆらは目に見えて安堵の息をついた。

 再び口を開く時、その声は随分と軽やかになっていた。

「美月、私と時夜は……」

 彼女は小さくため息をついた。「きっと縁がなかったのね。私たちは心から愛し合っていたのに、すれ違いで彼は秋月...

ログインして続きを読む