第256章 彼女はどうしてもあなたに会いたい

 九条時夜は眉をひそめ、秋月雫を見つめるその瞳には明らかな葛藤の色が浮かんでいた。

「なに、惜しくなったの?」

 彼女は鼻で笑うと、目を閉じて彼から視線を外した。

「それなら、絶対に私を満足させるなんて言わないことね。彼女を罰する件に関して、あなたが私を満足させたことなんて一度もないんだから」

「あいつは、俺の妹だからな」

 はあ?

 秋月雫は勢いよく目を開けた。その瞳は驚愕に見開かれている。

 彼も異変に気づいたようだった。

「どうした?」

「私に薬を盛って、あそこに誘い込んだのが九条美月だって言いたいの?」

 返答はなかった。だが、その沈黙だけで答えとしては十分だった...

ログインして続きを読む