第270章 あなたを愛していない、最初から最後まで

白衣姿の男たちが数人歩み寄り、秋月雫の腕から強引に秋月朝香を奪い取ろうとした。

「死にたいのか!」

 入り口から響いた怒声に、誰もが反射的に手を止め、一斉に声の主へと視線を向けた。

 九条時夜が、氷のように冷酷な面持ちで足を踏み入れてくる。

「時夜!」

 白川ゆらの顔に、隠しきれない焦燥が浮かんだ。

「どうしてここに?」

 彼はゆらへ一瞥もくれず、真っ直ぐに秋月雫のもとへ歩み寄る。雫を羽交い締めにしようとしていた男を蹴り飛ばすと、彼女の手首を掴み、その細い体をぐいと自らの胸元へ引き寄せた。

「怪我はないか」

 秋月朝香はすっかり怯えきり、雫の腕の中でしゃくり上げていたが、九...

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