第290章 彼は私を気にしたことがあるのか?

成田博司は勢いよく振り返り、目の前の人物を見て信じられないというように目を丸くした。

「なんで君がここにいるんだ?」

「あなたが私に電話をかけてきたんじゃないの?」

秋月雫は眉をひそめた。彼のこの大げさな反応が理解できない。

ほんの二秒ほど、スマホを取り出して通話履歴を見せつけてやろうかと思ったほどだ。

「いや、君がここにいるなら、さっき九条さんを支えて出て行った女は誰だ?」

言い終わってから、彼はすぐに後悔した。

先ほどまで淡々としていた秋月雫の瞳に、嘲りの色が走る。

しまった、誤解された!

「あいつ、かなり飲んでたから、誰かに騙されて連れて行かれたんじゃないか?」と、彼...

ログインして続きを読む