第300章 どうして産まないの、産みたくないの?

秋月雫は眉をひそめた。

以前、幼稚園で顔を合わせた時から、ただ者ではないと感じてはいた。だが、まさかこんなにも早く再会するとは思いもしなかった。

それに、彼のこの振る舞い。どう見ても軽薄で、嫌悪感を抱かずにはいられなかった。

「あいつと知り合いなのか?」

耳元に突然、温かい吐息が落ちる。よく聞けば、その声には微かな苛立ちが混じっていた。

彼女は無意識にわずかに顔を背け、九条時夜と距離を取って彼を見つめた。

「いきなりどうしたのよ?」

彼の瞳の奥で様々な感情が渦巻き、やがてそれは完全に凪いだ冷淡さへと変わった。

「あいつは鳴海市でも有名な遊び人だ。近づかない方がいい」

余計な...

ログインして続きを読む