第303章 無駄な努力はやめろ

「俺はあの頃よりもっと金を持ってる」

九条時夜の返答は即座だった。その眼差しには、どこか小さな安堵のような、微かな歓喜の色さえ滲んでいるようにも見えた。

歓喜?

秋月雫は、自分の目がおかしくなったのではないかと疑った。

数秒ほど彼を見つめ返し、ようやく気づく。彼は本当に、ささやかな喜びを噛み締めているのだと。

「九条時夜、あなた頭おかしくなったの?」

雫は半信半疑の眼差しを向けた。

「私があなたの金目当てだっていうのに、何がそんなに嬉しいわけ?」

「どうして喜んじゃいけないんだ? 俺には金がある。君が望むなら、いくらでも出してやれる。最高じゃないか」

世の御曹司という生き物...

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