第304章 謝罪

 九条時夜は、じっと秋月雫を見つめていた。

 彼女は臆することなくその視線を受け止め、むしろ彼の内面まで見透かそうとするかのような気迫を漂わせている。

 数秒の沈黙の後、彼は低く笑い声を漏らした。

「秋月雫、君は俺を愛していたから嫁いできた。そうだろう?」

 秋月雫の眉尻が、わずかに吊り上がる。

 なぜ彼が突然そんなことを問い詰めるのか、見当もつかなかった。

 だが、彼女は静かに伏し目がちになり、瞳の奥の感情を覆い隠す。

 あの頃、彼に嫁いだ時の彼女は、間違いなく無数の夢と期待を胸に抱いていたのだ。

 少女時代からずっと憧れ続けてきた人と結ばれるなんて、これ以上の幸運はないは...

ログインして続きを読む