第334章 私の腹部のあの傷跡をまだ覚えている?

九条時夜は眉をひそめ、ふっと小さく息を吐いた。

「秋月雫、何度も説明しただろ。彼女に対して、俺は本当に何の感情もない。前のことは――」

自嘲するように眉間に力が入る。

「あれは俺が愚かだった。いちばん最悪なやり方で、お前に振り向いてほしくて……結果的に、余計に遠ざけただけだ。もう二度としない。あんな方法でお前を苛つかせたり、彼女と必要以上に親しくしたりもしない」

数拍置いてから、覚悟を決めたように言葉を続けた。

「ただ、白川ゆらは……命の恩人なんだ。どうしても、俺の中に負い目が残ってる」

つまり、白川ゆらに何かあれば、九条時夜は助ける――そういうこと。

その“負い目”が消えない...

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