第89章 卑劣な手段

成田博司は肩をすくめ、九条時夜の陰鬱な顔を覗き込むと、その肩をポンと叩いた。

「そんな顔するなよ。秋月雫が腹黒いのは周知の事実だろう? それに、白川ゆらは善人だ。彼女と衝突するなんて、秋月雫くらいしかいない」

成田は時夜を横目で見た。

「お前が魅力的すぎるのが悪いんだよ。秋月雫は自分にやましいことがあるから、お前の周りにいる女に敵意を向けるんだ」

九条時夜は九条グループの後継者だ。その肩書きだけで、名家の令嬢たちが群がるには十分である。

ましてや彼は、彫刻のような美貌と、逆三角形の逞しい体躯を持ち、名門大学を卒業している。

人材の層が厚い富裕層の二世たちの中でも、彼は間...

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