第97章 九条グループに後継者は不可欠

病院、手術室の前。

 秋月雫は全身を鮮血に染め、待合のベンチに力なく座り込んでいた。意識は混濁し、現実感が希薄だ。

 脳裏には、九条時夜が自分を突き飛ばしたあの瞬間が、壊れたレコードのように繰り返されている。

 なぜ?

 なぜ彼は私を突き飛ばしたの?

 愛してなどいないはずなのに、どうして命を賭してまで私を守ったの?

 乾いた音が響き、頬に鋭い痛みが走る。

 強烈な平手打ちに、雫はよろめき、あわや床に倒れ込みそうになった。

「秋月雫!」

 九条美月の泣き叫ぶ声が鼓膜を打つ。

「お兄様を巻き込んだのはあなたよ! もしお兄様に何かあったら、絶対に許さないから!」

「美月、落...

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