第107章

ゆっくりと時間が流れていく。

突然、胃を焼くような痛みが襲ってきた。晴美は適当な口実を作って化粧室へ駆け込んだ。

便器を抱え込み、しばらく激しくえずく。薬を飲み下し、ようやく痛みが引いていった。

どれくらい経っただろうか。メイクを直し、顔に少しの綻びもないことを確認してから化粧室を出る。だが、ドアを開けた瞬間――目の前に陰鬱な顔が現れた。

視線が絡み合う。

悠は瞬き一つせず、晴美を見据えていた。

「さっきの、見てたか? 胸が痛んだか?」

痛む?

たぶん、痛いのだろう。

けれど、あまりにも何度も傷ついてきたせいで、とうに麻痺してしまった。もう、何が痛いのかすらわからない。

...

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