第百九章

頭の奥で、キーンと甲高い音が鳴った。

大旦那様の声を聞き、晴美は目頭が熱くなり、頭の中がぐわんぐわんと揺れた。

大旦那様はずっと夫婦の円満を望んでいたが、現実はいつも残酷だ。

クルーザーの上という、密室空間。

夫婦が朝から晩まで顔を突き合わせれば、自然と会話も増えるだろう。

それだけではない……大旦那様は、二人の距離を縮めようとダイビングなどのアクティビティまでわざわざ手配してくれていた。

その心遣いに感動しつつも、どうしようもない無力感に襲われ、晴美は掠れた声で口を開きかけた。

大旦那様はふんと鼻を鳴らす。

「お前たちが忙しいのは分かっている。だがな、今回ばかりは私の言う通...

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