第百十章

薄暗い街灯の下。

女は涙に濡れた顔を上げ、晴美の揺るぎない表情を見つめて、呆然と頷いた。

「助けて、くれるんですか? 子どもの親権が欲しい。それに、私が手にするべきだったものを取り戻したいんです」

「もちろん大丈夫ですよ。何があったのか、話してもらえますか」

晴美のあまりに落ち着いた様子が希望を与えたのか、皆川充子はすがりつくようにその手を握りしめた。

「どうか、助けてください……」

薄暗い片隅で、女は自身の境遇を語り始めた。

女の名は皆川充子。裕福な家庭に育ち、学生時代にある男と恋に落ちた。卒業後、彼女は迷うことなく愛に生きることを選び、彼と結婚した。

実家は当然反対した。...

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