第111章

オフィスは水を打ったように静まり返り、針の落ちる音すら聞こえそうだった。

菅原吉永の殺気立った視線を浴びながらも、晴美は訪問の目的を告げ、同時に証拠書類を差し出した。

葵という部外者がいる手前、晴美は手持ちのカードをすべて切ることはせず、菅原吉永の愛人の存在を仄めかすに留めた。

「壁に耳あり障子に目あり、と言います。あなたがなさったことの証拠は、すでにこちらで押さえてあります。こうして協議の場を設けたのは、お子さんを傷つけたくないからです。どう動くかはご自身で判断してください。できれば、協議離婚で穏便に済ませたいと考えております」

離婚が子どもに与えるダメージは計り知れない。両親が法...

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