第12話

そのまま行ったのか。

一度も振り返ることなく。

和也は、曲がり角に消えていくその背中をただ見送ることしかできず、その場に立ち尽くした。瞳の奥に暗い光が沈む。

葵が小さくため息をつく。

「どうしてあんな風に食べ物を粗末にするんでしょう。どれも高級な食材なのに」

手の込んだ料理はゴミ箱に捨てられたというのに、その香りはまだ空気に纏わりついて離れない。晴美の料理の腕が確かであることは、認めざるを得なかった。

葵はふっと顔を曇らせ、和也をちらりと見てから、もっともらしく首を振る。

「本当はね、彼女が何をしているにせよ、ただあなたの気を引きたいだけなのよ」

そうだ。どれほど騒ぎ立てよう...

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