第26章

「あの極秘結婚の奥さんなんて、大したことないわよ。社長の本当の恋人はうちの部長なんだから。部長がバリバリのキャリアウーマンで結婚できないから、ダミーの奥さんをもらったんじゃない?」

「ロマンチックですね……」

二十代前半の若い女子社員は、まさに恋愛に憧れるお年頃だ。

彼女たちがキャッキャと騒ぎ立てる声は止まらず、ドアの前に立つ人物には全く気づいていない。

晴美はきびすを返してその場を離れた。

ほら見なさい。部外者でさえ気づいているのに、どうして自分は数年間も騙され続けていたのだろう。

馬鹿みたい。

自分のオフィスに戻り、ドアを開けようとしたその時――中から男の声が聞こえてきた。...

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