第28章

「くしゅん」

法律事務所に駆け込んだばかりの晴美は、小さくくしゃみをした。

「大丈夫?最近、すごくやつれてるよ」

梨乃が心配そうに尋ねる。

彼女は晴美を上から下まで見つめ、さらに不安を募らせた。

気のせいだろうか。再会してからというもの、晴美はずっと何か思い詰めているように見える。毎日きちんとメイクをしているのに、顔色はひどく青白いままだった。

とりわけその瞳には、いつも底知れぬ感情が揺らいでいる。

晴美はわざと明るく笑ってみせた。

「平気平気。さあ、会議に行こう」

病気のことは誰にも言うつもりはない。親友に心配をかけたくなかった。

一時間後に会議が終わると、空腹で胃が鳴...

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