第33章

車は車道を猛スピードで駆け抜けていく。

街灯の光と影が車窓を掠め、女の完璧な横顔に落ちる。

晴美は時折眉をひそめて険しい表情を見せたかと思えば、ふっと柔らかな顔つきになる。

その顔には、人を惹きつけてやまない不思議な魔力があった。

孝紀が思わず見とれていると、香絵のからかうような声が響いた。

「どうしたの?晴美お姉ちゃんに見惚れちゃった?」

子供の言うことだ。

誰もその言葉を本気にはしなかった。

孝紀は慌てて視線を外し、わざとらしく咳払いをした。

「馬鹿なこと言うな。こっちは真面目に話を聞いてるんだよ」

口ではそう言いながらも、耳は微かに熱を帯び、視線の端で後部座席を窺っ...

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