第36章

次に目を覚ましたとき、鼻を突いたのは強烈な消毒液の匂いだった。

晴美が重い瞼を押し上げると、周囲は深い闇に沈んでいた。

「やっと気がついた! もう、本当に死ぬかと思ったんだから」

梨乃の弾んだ声が響く。

その声はわずかに震え、瞳には涙の膜が光っていた。

暗がりの中で親友の顔を認め、晴美は掠れた声で尋ねる。

「……何が、あったの」

視界が急に真っ暗になり、意識が途切れたことだけは覚えている。だが、それ以外の記憶はすっぽりと抜け落ちていた。

梨乃は晴美の額にそっと手を当て、熱がないことを確かめると、大げさに息を吐き出した。

「何があったじゃないわよ。あんたが無理するからでしょ。...

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