第38章

オフィスは冷え切った空気に包まれていた。

秘書が恐る恐る入ってくる。

「社長。先ほど、雪見部長が……」

「すでに退職した」

「は、はい、退職されました……その、雪見さんからお電話がありまして。いつ離婚の手続きをするお時間があるか、と……」

秘書は社長の冷酷な視線とぶつかり、出かかった言葉を呑み込んだ。

「出ろ」

和也は淡々とした眼差しで、軽く手を振った。

秘書は恩赦を受けたように慌てて退室した。ドアが閉まった瞬間、胸を撫で下ろす。背中は冷や汗でびっしょりだった。

虎の尾を踏むようなものだ。

うちの社長は、ますます機嫌の浮き沈みが激しくなっている。

まさか、晴美のせいだろ...

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