第47章

ドアの隙間に見え隠れする服の裾を視界の端に捉え、拓海はさらに調子づいた。

「兄貴。あの時は会社のため、株価のために仕方なく折れて、あんな嫌な女と結婚したんだろ。でも安心しろよ。今度こそあの女を追い出すって言うなら、俺が真っ先に支持するからさ……」

「人を好きになる気持ちは目に出るんだよ。葵さんと一緒にいる時だけだぜ、兄貴の目が輝いてるのは……」

病室の中から、当てつけがましい声が絶え間なく響いてくる。

晴美はドアの外でしばらく立ち聞きしていたが、心の中で冷たく鼻で笑った。

だが、拓海の言葉にも一つだけ正しい部分がある。和也は誰に対しても氷のように冷たいが、葵に向ける視線だけは甘く優...

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