第54章

「そうですよ、おばさま。私たち二つの家にはこれほどの縁があるんですから、本当の家族のように付き合っていくべきです。姉はまだ少し戸惑っているだけで……もしお気に障ったのなら、私が姉の代わりに謝ります」

琴音はそう言って赤ワインのグラスを掲げ、誠実そうな態度を取り繕う。

葵はちらりと母親に視線を向けた。

「そうよ、お母さん。雪見の家には育ててもらった恩があるもの。ある人からは口止めされているけれど、私はずっと心に刻んでいるわ」

その『ある人』が誰を指すのかは、言うまでもない。

尚子はわざとらしく溜息をつく。

「私もこんな風にはしたくなかったのよ。あなたたちにこれほどの縁があるのだから...

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