第55章

エレベーターが到着し、扉が開いてはまた閉まる。

晴美はその場から一歩も動かず、ただ冷ややかな視線を投げかけていた。

梨乃は無言で親指を立て、誇らしげな顔で親友を見つめる。

彼女の目には、晴美はこうあるべきだと映っていた。

学生時代のように太陽のごとく眩しく、常に気高く顎を上げているべきだ。男への未練に縋って惨めに生きる姿など、彼女には似合わない。

悠は深く息を吸い込んだ。

「……あいつのこと、もうどうでもいいのか? 中にいるんだぞ」

和也の名前を出せば晴美が怯むとでも思っているのだろうか。

だが彼の予想に反し、晴美の口調はさらに冷たさを増した。

「私たち、今離婚の話し合いを...

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