第73章

病院を後にした晴美の胸中は、複雑に絡み合っていた。

脳裏をよぎるのは、先ほどの園長の言葉ばかりだ。

和也が来ようが来まいが気にしていないとでも言うように、わざと軽い口調で話していたが、晴美にはわかっていた。園長が心の底では和也の訪問を待ち望んでいることを。

二人が円満で、仲睦まじい夫婦であることを願っているのだ。

この世界に家族と呼ばれる存在は多くても、本当に彼女を気にかけてくれる人は数少ない。園長はその中で最も彼女を愛してくれている人だった。

だからこそ、余計な心配をかけたくなかった。

せめて、正式に離婚届を提出するまでは、隠し通せるところまで隠し通そう。

病院へ向かう時は焦...

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