第75章

月日は飛ぶように過ぎ去り、あっという間に園長の誕生日を迎えた。

早朝、晴美はスマホを握りしめ、胸をざわつかせていた。何度もためらった末、結局メッセージは送信できなかった。

結婚して数年、和也は彼女の生活に無関心で、何も知らないかのようだった。

今さら聞いたところで、何になるというのか。

惨めな思いをするだけだ。

深呼吸をして、晴美は誕生日プレゼントを手に孤児院へと向かった。門の前に着くと、そこには梨乃がにこにこと笑いながら立っていた。

「一人で来ると思ってたよ。ほら、私って気が利くでしょ」

梨乃は笑顔で歩み寄り、あらかじめ用意していたものを取り出した。「安心して。私たちがいるん...

ログインして続きを読む