第81章

朝。

晴美は地下鉄とバスを乗り継いで、ようやく事務所にたどり着いた。

疲労の色が濃く滲む晴美の顔を見て、司は眉をひそめた。

「そこまでするか? お前は今やうちの事務所のエース弁護士だぞ。前の案件の成功報酬もかなり弾んだはずなのに、いくらなんでも倹約しすぎだ」

晴美の稼ぎなら、高級車とは言わずとも、通勤用の車一台くらい余裕で買えるはずだ。

晴美は首を横に振った。

「いいんです。こうして歩くのが好きですし、いい運動になりますから。それで、今日の予定は?」

「まずは会議室に入ろう」

仕事となれば、司の態度は極めて真剣なものになる。全員が揃うと、彼は数日前から準備していた資料をさっそ...

ログインして続きを読む