第85章

静まり返った廊下。

晴美はふいに顔色を変えた。胃を焼くような痛みが襲い、額から大粒の汗が滴り落ちる。

孝紀は眉をひそめた。

「どうしたんだ?」

彼は歩み寄り、晴美の腕をぐっと支えた。その身体が微かに震えているのに気づき、瞳の奥の懸念がさらに深まる。

一体どうしたというのか。

ここ最近顔を合わせるたび、彼女はいつもこんなふうに今にも壊れそうな姿をしている。

和也はこのことを知っているのだろうか。

一瞬のうちに、様々な憶測が脳裏を駆け巡った。

晴美は彼を突き放そうとしたが、体が言うことを聞かない。最後の力を振り絞ってバッグから薬を取り出し、どうにか飲み込んだ。

孝紀は始終その...

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