第87章

夜の闇の中。

晴美は和也たちに見つからないよう、隅の方でひっそりと息を潜めていた。

手元のスマホに目を落とし、少しでも安く済ませようと複数の配車アプリを必死に見比べている。

節約のことで頭がいっぱいになっていた彼女は、複数の影が密かに近づいてきていることに気づかなかった。

「俺たちの車で帰るか?」

唐突に孝紀の声が響き、晴美はビクッと肩を震わせ、危うくスマホを落としそうになった。

我に返ると、無意識に首を横に振っていた。

「ありがとうございます。でも大丈夫です。もう車を呼んだので、すぐに来ますから」

本当はどのアプリが一番安いかまだ比較中だったが、彼らとこれ以上関わりたくなく...

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