第92章

夜の帳が下りた。

晴美は大晦日の献立について厨房と打ち合わせをするため、先に階下へ向かった。しかし、エレベーターに乗り込んだ途端、見覚えのある姿が目に飛び込んできた。他でもない、和也の親友である孝紀だ。

再び顔を合わせ、彼が専門医を紹介してくれたことを思い出した晴美は、口元に微かな笑みを浮かべた。

「こんばんは。こんなところでお会いするなんて」

今日は特別な日だ。普通なら、誰もが家族と過ごしているはずである。

それなのに、なぜ孝紀がここにいるのだろうか。

次の瞬間、孝紀の後ろから一人の女が姿を現した。

二人は肩を並べて歩みを進める。

女は晴美をじろりとねめ回し、あからさまに値...

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