第93章

晴美の沈黙は、雪枝の機嫌を著しく損ねた。

「ちょっと、私の話聞いてるの? 高級な食材はもうこっちで手配してあるんだから、あなたは帰ってきて調理するだけでいいの。勝手な真似は許さないわよ」

それから雪枝は、どの友人が来るだの、あれは駄目これは駄目だのと、くどくどと小言を並べ立て始めた。

矢継ぎ早に飛んでくる声は、ただの騒音となって耳にまとわりつく。

これ以上聞いていられず、晴美は冷ややかな声で遮った。

「和也さんから聞いていませんか? 今年の正月は帰りません。園長と一緒に過ごしますので」

電話の向こうが静まり返る。

しばらく呆気に取られていた雪枝から、烈火のごとく怒り狂った声が飛...

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