第99章

オフィスの中は、ひっそりと静まり返っていた。

コーヒーを一口飲んだ晴美は、スマホを握りしめたまま、ためらいがちに窓の外を見つめていた。

大旦那様が何を企んでいるのかは分からないが、離婚を控えている以上、どんな取り決めであれ不適切だ。

大旦那様に対して、晴美は無下なことも言えず、ましてや拒絶することなどできるはずもない。この件は和也に任せるしかなかった。

そんなことを考えていると、眼下の通りに数台の高級車が滑り込んでくるのが見えた。

車が停まり、仕立ての良いスーツに身を包んだ和也が降りてくる。そして、同時に降りてきたのは葵だった。

美男美女の二人が並んで歩く姿は、ひどくお似合いに見...

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