第6章

【結菜視点】

 翌朝、まだベッドの中にいた私の耳に、階下から佐藤さんの叫び声が飛び込んできた。

「藤川さん! 鳥山さんが隣の廃農場を買い取りましたよ!」

 カーテンを開ける。荒地に立つ崇勝の背後には、作業着姿の男たちが群れをなしていた。彼は私の窓を見上げている。その瞳に宿るのは、狂気すら孕んだ執着だ。

 それからの毎日、玄関先にはシーフードパスタが置かれるようになった。保温容器に入れられ、まだ温かい。添えられたメモには、彼の乱雑な筆致が残されている。

『温かいうちに食べてくれ。――L』

 最初の四日間、私はそれをそのままゴミ箱へ放り込んだ。

 だが五日目。蓋を開けた私は、思わず...

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