第104章

森原覚が、また氷みたいな視線を突き刺した。

それだけで林原さんは、ぴたりと口をつぐむ。個室にいた連中も、森原覚の意図が読めず、空気だけが妙に固まった。

森原覚はそれ以上、彼らに構わなかった。

私の肩に腕を回し、そのまま踵を返して出ていく。

私は抵抗する間もなく、森原覚の腕の中に閉じ込められたまま、いっしょに個室を出た。

扉を一歩またいだ瞬間、背後からひそひそ声が追いかけてくるのが聞こえた。

『林原さん、あの女って森原先生とどういう関係? 森原家の家政婦ってだけ?』

林原さんが返す。

『私が聞いてるのはそれだけ。空野さんが言ってたわ。森原お婆さんの身の回りの世話してる人なんでし...

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