第113章

病院に着くと、白原さんが病室の前で待っていた。

「お婆さま、さきほどお目覚めになりました。お加減もよろしいようで……ずっと、森原様と若奥様のことをお尋ねでした」

扉を開けると、お婆さんはベッドに半身を起こしていた。顔色はまだ青白いのに、目だけは冴えている。

「お婆さん!」

私は足早に枕元へ寄った。

「……覚」

お婆さんが私の手を掴む。骨ばった指先が、思った以上に力強い。

「詩音は? あの子は来てないのかい」

胸の奥がじんと温かくなった。目を覚まして最初に口にしたのが、宮沢詩音の名前だなんて。

「仕事の片づけが少しあるみたいで、あとで来ます。お婆さん、俺から話したいことがある...

ログインして続きを読む