第114章

 私が病院に着いたとき、祖母はすでに意識を取り戻していた。白原が病室の使用人たちに指示を飛ばし、さきほど宮沢詩音が実家で煮込んだスープを祖母に飲ませているところだった。

 祖母の顔色は悪くない。むしろ、思ったよりも元気そうだ。

 私の姿を認めると、祖母は不機嫌そうにちらりと視線を寄越し、すぐに瞼を半分落とした。

 病室の空気が、微妙に固まる。

 白原が軽く咳払いをして、その沈黙を割った。

『若様、奥様はもうずいぶん前にお目覚めでして。スープも一杯、きれいに召し上がりました。やはり若奥様の煮込んだものは、奥様のお口に合うようでございます』

 そう言うと白原は、私に向かってわざとらし...

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