第131章

 森原覚と夫婦になって三年。こんな光景、今まで一度だって見たことがない。感動していないと言ったら――嘘になる。

 私はそっと手を上げ、目尻の涙をぬぐった。森原覚に頷いて、彼のプロポーズを受け入れようとした、そのとき。

 入口のほうに、ふっと人影が差し込んだ。

 空野朱音――!

 誰もが状況を飲み込めないうちに、空野朱音は足早に駆け寄り、まっすぐ森原覚の隣へ滑り込んだ。

 私の返事を、嬉しそうに待っていた森原覚。だが彼女の登場と同時に、表情がすっと冷えた。

 空野朱音は涙でぐしゃぐしゃの顔をしていて、まるで森原覚が彼女を裏切って浮気相手を作ったかのような勢いで詰め寄る。

「覚君…...

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