第146章

森原覚視点:

 今日の宮沢詩音は、やけに機嫌がいい。

 俺は彼女を連れて、病院へ祖母を迎えに行った。助手席に座る詩音は終始にこにこしていて、口元の弧がどうしても隠しきれていない。

 何がそんなに嬉しいのか、俺にはわからない。

 たぶん――今日、空野家の連中の前で俺が彼女の味方をした。それが、詩音にとっての「安心」になったんだろう。

 俺はこれまで何本もドラマを撮って、傲慢な社長役だって散々やってきた。そういう役どころが教えてくれたのは、女を喜ばせる方法なんて簡単で、金を叩きつけてやればいいってことだ。

 けど、宮沢詩音の「嬉しい」は、金じゃ買えないらしい。

 彼女が欲しいのは、...

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