第148章

 宮沢詩音が、ぷんと拗ねたようにこちらを睨んだ。

 その視線は反射的に、お婆さんのいるほうへ向かう。

 お婆さんはにこにこと、いかにも楽しげに私たちを眺めていた。――私と詩音が仲睦まじくしている光景が、よほど嬉しいらしい。

『ほら、早く……』

 私はさらに詩音へ圧をかけた。

 好奇心に背中を押されたのだろう。詩音はあれこれ迷った末、可愛らしく指先をちょいちょいと動かして合図をする。私は顔を低くして、耳を彼女の唇のそばへ差し出した。

 鼻先から漏れる温かな息が、ふわりと頬を撫でる。胸の奥がざわつき、理性がほどけそうになる。

 やがて薄い唇が小さく動き、詩音はおとなしく囁いた。

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