第160章

 あの頃、俺は十七歳で、この街でいちばん名の通った高校に通っていた。空野藍は、一つ下の後輩だった。

 藍は空野家の子だ。藍の父親は、空野朱音の父――空野正人より少し年上だったらしい。だが藍がまだ幼い頃、家族三人で出かけた先で交通事故に遭い、父も母もその事故で亡くなった。

 それから藍は、空野正人夫妻に引き取られて育った。

 両家は代々の付き合いがあり、年も近い。小学校から中学、高校まで、俺と藍はずっと同じ学校だった。

 登校のとき、俺はいつも運転手に回り道をさせて空野家に寄り、藍を拾って一緒に学校へ向かった。

 空野正人は藍に対して、表向きは悪くなかった。兄の娘なのだから当然だろう...

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