第164章

白原はふと視線を上げ、空野奥様を一瞥した。

『白原執事、私たちはお婆さんにお目にかかりたいの。お婆さんはどちら?』

空野奥様は以前、空野お婆さんの縁で森原お婆さんに何度も会っている。空野家では空野お婆さんに可愛がられていた分、森原お婆さんの前でも自然と顔が利くつもりでいたのだろう。

それに、森原覚と空野朱音の婚約話を取り仕切ったのも、彼女だと聞いたことがある。

白原は軽く咳払いをして、丁寧に頭を下げた。

『空野奥様、申し訳ございません。お婆さんはお身体の具合が優れず、まだお目覚めではございません』

それを聞いても、空野奥様は引かなかった。

『なら、ここで起きるのを待つわ』

『...

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