第171章

 振り返り、葉山良介のその顔を睨みつけた。胸の奥で煮えたぎる怒りを、そのまま言葉にしてぶつける。

『葉山良介、あんた……頭おかしいの?』

 葉山良介の表情は、ぞっとするほどだった。

 彼は冷たく嗤い、私の顔だけを見据えたまま、失意を滲ませて言う。

『俺は狂ってない。狂ってるのは、お前のほうだ』

『森原覚……お前は空野藍以外の女を愛しちゃいけない。罰が当たるぞ』

 ――もう、言葉も出ない。

 こんな葉山良介の狂気に付き合う気はなかった。私は何も返さず踵を返し、その場を離れた。

 空野藍の墓地を車で後にし、そのまま実家へ戻る。ちょうど庭先で、宮沢詩音がお婆さんの腕を支えながら、ゆ...

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