第172章

 俺がレベッカを蹴ったとき、別に力なんて入れてない。

 なのにレベッカは尻を押さえて大げさに騒ぎ立てた。まるで俺が何かとんでもないことをしたみたいに。

 その声で宮沢詩音がこちらを見た。少しだけ首を傾げたような、疑うような顔。

 俺はレベッカに命じる。

『ほら、さっさと動け。俺の嫁のドレス探してこい。お前がデザインした最新作だ』

 俺の表情が変わったのを察したのか、レベッカはふざけるのをやめた――と思った次の瞬間、宮沢詩音の視線を真正面から受け止めたまま、いやらしく手を伸ばして俺の腰をつねった。

『へいへい、覚。奥さんのドレス、探してくるってば』

 その一撃で、俺の顔は一気に熱...

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