第174章

俺のその言葉を聞いた途端、空野正人は気まずそうに口元を引きつらせ、へらりと笑った。

「覚……最近の空野家は、本当に苦しいんだ。投資は外すし、過去に手がけた案件も、入金が滞ってて金が回らない」

言い訳みたいに息をつき、続ける。

「それに、森原家に借りてた……あの程度の金のことで、原崎様に訴えられただろ。今の空野家はもう限界なんだ。頼む、手心を加えてくれないか。うちは世代を越えた付き合いだろ? この件、見逃してくれ……頼む」

その言い草に、俺は思わず横目で見た。

ちょうどそのとき、空野奥様もこちらへ歩み寄ってくる。さっきまでの刺々しさを引っ込め、妙に柔らかな笑みを貼り付けて。

「覚、...

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