第178章

危険に遭ったその瞬間、私はレベッカに言ったのだ。森原覚に電話して、助けを呼んでって。

……今思えば、笑える。

温柔郷に溺れている森原覚が、真っ先に私を助けに駆けつけるはずがない。

涙で視界が滲む。テレビには、空野朱音が森原覚に跨っている映像が映し出されていた。しかもそれが、誰かの手で執拗にリピートされている。生々しくて、目を背けたくなるような場面が、何度も何度も神経を殴ってきた。

椅子に縛りつけられた私は必死に暴れる。手首に食い込む縄は、肉にめり込みそうなくらいきつい。

それでも、痛みなんて感じなかった。

椅子ごとぐらぐらと無様に揺らしていた、そのとき。

小さな平屋の扉が――バ...

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