第186章

森原覚視点:

 用事を片づけている最中、使用人から電話が入った。宮沢詩音が病院を出た、と。

 外はまだ雨が降っている。強くはないが、彼女は怪我をしたばかりで、しかも流産した直後だ。このまま雨に打たれれば、身体に堪えるに決まっている。

 電話を切るなり、俺は車を飛ばした。

 見つけたのは大橋の上だった。詩音は病衣のまま、細い身体を雨に晒して立ち尽くしていた。風に煽られる姿は、まるで千切れかけた枯れ葉みたいで――胸が、きりきりと痛んだ。

 あのとき、衝動で詩音と籍を入れたのは、祖母を納得させるためでもあり、正直に言えば、欲のはけ口でもあった。

 だが今は違う。

 俺は、詩音を愛して...

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