第22章

 午後になると、小村が私のオフィスへやって来た。

 彼女は私に言った。

「宮沢様、先方の社長とお約束が取れました。今夜、ご一緒にお食事をして、その席で契約書にサインしていただけるそうです」

 こういう会社の社長は、たいていそうだ。商談はいつも食卓の上。

 会食に呼ばれること自体は珍しくないし、その場で契約がまとまることだって、これまで何度もあった。

 私は少し考えてから答えた。

「わかったわ。小村さん、いつも以上に準備をお願い。先に行って、段取りも確認しておいて」

 小村はうなずき、それから少し声を落とした。

「宮沢様、承知しました。ただ、ひとつだけ。今夜の席では、お酒を何杯...

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