第27章

 ――あれは俺の妻だ。森原覚の妻に、あいつは何をするつもりだ?

 怒りがこみ上げた、そのときだった。宮沢詩音は反射的に一歩身を引き、周防明広との間にすっと距離を作った。

 行き場を失った周防明広の手が、宙に取り残される。

 宮沢詩音は言った。

「周防さん、今日は本当にありがとうございました。改めて、きちんとお礼をさせてください」

「先に同僚を家まで送ります。お時間のあるときに、また連絡しますね」

 そう言い終えると、彼女は一緒に巻き込まれた二人の同僚を気づかい、三人で車に乗り込んだ。そのまま警察署を後にする。

 周防明広は署内の中庭に立ち尽くし、宮沢詩音が去っていった方角をどこ...

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