第38章

 私が掴んだ勢いが強すぎたのだろう。空野朱音の胸元で裂けていた布が、はらりとちょうどいいタイミングで落ちた。

 大勢の招待客の目の前で、空野朱音のイブニングドレスの内側――ブラジャーがあからさまに晒される。

 まずい、と気づいた空野朱音は、あわてて身をひるがえした。

 それから泣き声を混ぜて、自分を引き寄せた女に訴える。

「おばさん、この人が私を叩いたの! この森原家の家政婦が、私を殴ったのよ……!」

 そのひと言で、場にいた全員の視線が一気に私へ集まった。

 先に私を侮辱したのは彼女だ。先に私の服を引き裂こうとしたのだって、彼女のほう。

 なのに泣きついて被害者ぶるのも、やっ...

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